最近読んだ本「画商が読み解く 西洋アートのビジネス史」のこと。
本のご紹介です。
「画商が読み解く 西洋アートのビジネス史」著者:髙橋芳郎さん
この本、アートは好きだけど、アートのことを大してよく分かっていない僕でも理解できるように分かりやすく写真付きで解説されています。
なので、ビジネス史と書名にはありますが、アートを理解する解説書の方がしっくり来るくらいに思いました。
早速一部をご紹介します。
- 画家・批評家から「理解できない」といわれた印象派の作品は、やがて「この画家にしか描けない」ものとして評価を得ていった。その背景には写真技術の登場があり、現実をただ絵画にするのではつまらないという風潮があった。モネが描いたから価値があり、セザンヌが描いたものの代わりはないという考え方が生まれ、芸術作品は芸術家とイコールの存在となり、画家自身がアーティストとしてブランド化していった。
- アート思考が大切だという話はとてもよくわかります。一方で、アートをビジネスに役立てようという考え方には、いまひとつ腑に落ちないものを感じていました。(中略)西洋におけるアートの歴史は哲学的な問題を含みながら社会に根づき弁証法的に展開してきたのです。ヨーロッパでは、アートとは社会に根ざして人々に愛されて発展してきた文化の歴史でした。アートについて語れるというのは、自分たちの社会背景や歴史を踏まえた教養があり、さらには自分の価値観を語れるということなのだろうと思います。それが歴史を異にする日本人にとっても意味があるのかどうかと考えてしまいます。
短いですが、これだけでこの本の面白さが伝わるのではないかと思います。
僕自身が和紙アーティストと名乗る以上、噛み締めながら読む内容の本でした。
しばらくは何度か繰り返し読まざるを得ないだろうと思っています。
反省と共に、自分の歩んできた道、歩んで行く道を再確認できました。
読んで良かった!